2001年の東京優駿(日本ダービー)を勝ったジャングルポケットが2021年3月1日に亡くなりました。シーザリオに続く悲しいお知らせになります。
ジャングルポケットについて
生い立ち
1998年5月7日に北海道早来町ノーザンファームで生まれています。
サラブレッドは早い産駒で2月に生まれる産駒が多く、5月生まれは遅い部類に入ります。
ダービーの日程は決まっており、一般的に遅生まれの馬はクラッシクでは不利と言われています。
血統
父トニービン
父はトニービンで欧州最大のレース凱旋門賞を制し、日本で種牡馬入りしました。
トニービンはジャングルポケット以外にも活躍場を多数輩出しており1994年にはリーディングサイアーを獲得。
この後はサンデーサイレンスが大活躍しますが、ブライアンズタイムと合わせて3頭でリーディングサイアーを争いました。
ウイニングチケット・エアグルーヴ・ベガなど東京競馬場2400メートルで産駒が活躍しています。
母はダンスチャーマー(母父Nureyev)
母の産駒では一つ上で同じトニービンを父に持つカサノバダンディが2勝をあげましたが、他の兄弟・近親にあまり活躍している馬はいません。
血統表
母ダンスチャーマーの父Nureyev(ヌレイエフ)は日本ではブラックホーク(安田記念等)を輩出しており、ヨーロッパの大種牡馬です。
現役時代(レース名は当時のもの、文章中の年齢表記は現在の基準に合わせています)
遅生まれながら2歳9月デビュー。生まれは遅かったのですが、デビューとしてはクラッシクレースを走る馬としては通常くらいでしょうか。
新馬戦(札幌競馬場 芝1800メートル)
8頭中5番人気(9.8倍)と低評価でしたが、1番人気タガノテイオーに首差勝利しています。
結果的に2着タガノテイオーはこの後11月に東スポ杯を勝ち朝日杯を2着(故障でレース後予後不良)。
3着ダイイチダンヒルは皐月賞トライアル若葉Sを勝利。
5着メジロベイリーは朝日杯を勝利
ジャングルポケットを含め3頭の重賞馬が出ただけでなく、8頭すべてが中央競馬で1勝をあげるといううハイレベルな新馬戦でした。
札幌3歳S(札幌競馬場 芝2000メートル)
同じ9月下旬に2戦目。2戦目も5番人気で1番人気はタガノテイオー。再戦になりましたが、レコードタイムで1馬身半差と差を広げて圧勝しました。
ちなみに3着は後にオークスなどを勝利するテイエムオーシャンとこちらもレベルが高い1戦でした。
ラジオたんぱ杯3歳S(G3阪神競馬場 芝2000メートル GⅢ)
3戦目は12月のラジオたんぱ杯3歳S。ここでは3番人気でしたが2着に敗れます。
勝ったのはアグネスタキオン、3着はクロフネとこの世代の3強が揃ったレースでした。
2歳時走ったレースはいずれもレベルが高い相手ばかりです。
共同通信杯(東京競馬場 芝1800メートル GⅢ)
初めての東京競馬場でレース。2着プレジオに2馬身差をつけて快勝します。
アグネスタキオンに次ぐダービー候補としてクラッシクレースを迎えることになります。
皐月賞(中山競馬場 芝2000メートル GⅠ)
2番人気で出走するも、スタートで躓き後方からの競馬で3着に敗れました。
1着はアグネスタキオン。2着はダンツフレーム(後に宝塚記念制覇)でしたが内容的にはダービーに期待ができる内容でした。
東京優駿<日本ダービー> (東京競馬場 芝2400メートル GⅠ)
アグネスタキオンが故障で戦線離脱し、ダービーでは1番人気。NHKマイルカップを勝ったクロフネが続き、ダンツフレームとの3頭の争いと予想されていました。
ダンツフレームに1馬身半差をつけて圧勝。
角田晃一騎手・渡辺栄調教師にダービーをプレゼントしました。
札幌記念(札幌競馬場 芝2000メートル GⅡ)
デビュー2連勝した札幌競馬場の札幌記念に出場。圧倒的1番人気(1.3倍)になりますが、同じ3歳馬のエアエミネムの3着に敗れます。
菊花賞(京都競馬場 芝3000メートル GⅠ)
前走敗れるもファンは支持し2.3倍の1番人気。しかし、4着に敗れます。
勝ったのは後に有馬記念・天皇賞(春)を勝つマンハッタンカフェでした。
ジャパンカップ(東京競馬場 芝2400メートル GⅠ)
ダービー制覇の舞台に2番人気で出走。1番人気は前年の覇者テイエムオペラオー。
その絶対王者を首差差し切りジャパンカップ制覇。
内国産の3歳でジャパンカップ制覇したのが本馬が初めてであった。
古馬になってから
天皇賞2着などになるも4戦して未勝利。凱旋門賞出走を目指すも足元に不安があり自粛。
7着に敗れた有馬記念後に腰部筋肉痛と左前蹄球炎を発症していたことが分かり、翌2003年1月に引退しています。
種牡馬として
初年度産駒からダービー1番人気(結果は7着)フサイチホウオーを輩出
また初年度産駒からはほかにもジャガーメイル(天皇賞春)やクィーンスプマンテ(エリザベス女王杯)などが誕生し好スタートを切りました。
2年目にはトールポピー(オークス)、オウケンブルースリ(菊花賞)の2頭のクラッシク制覇馬が誕生。
その後も、トーセンジョーダン(天皇賞秋)、アヴェンチュラ(秋華賞)、アウォーディー(JBCクラッシク)、ディアドムス(全日本2歳優駿)などの芝・ダートG1馬を輩出しています。
このうちオウケンブルースリは少ない産駒から共同通信杯を制したオウケンムーンを輩出。何とかジャングルポケットのサイアーラインを維持してほしいですね。
現役産駒の活躍馬
ピースワンパラディ(牡5歳)
2021年京都金杯2着馬。マイル路線で重賞制覇に期待。
サンレイポケット(牡6歳)
昨年の毎日王冠・新潟記念3着馬。成長を見せ中距離GⅠに手が届くか?
ニホンピロマリブ(牡3歳)
ダービー馬と相性がいい10月新馬戦勝利の本馬。ダービー出走権を得て父に続くことができるか?
まとめ
アグネスタキオン・クロフネ・マンハッタンカフェと名馬が揃った世代のダービー馬。残された産駒や孫世代からGⅠ勝馬がでるか注目です。
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